2016年8月31日水曜日

5回 敷金返還Q&A その1

賃貸人の地位が譲渡された場合の敷金の返還請求

みなさん こんにちは
今回は、当事務所にも過去相談の多かった「敷金の返還請求」についてです。

   Q
         Aさんを賃貸人として賃貸借契約期間中に、家主(賃貸人)がAさんからBさ
          んに変わりました。
          (賃貸物件であるアパートをAさんがBさんに売却した)
          アパートを退去する時にBさんに敷金の返還を求めたところ、Bさんは「私は
          Aさんからアナタの敷金を預かっていない。
          だから私はアナタに敷金を返還する義務は無い。
          Aさんから返してもらってくれ」と答え、敷金を返してくれません。
          Aさんにこの話をしたところ、
          「私は賃貸人ではないから返還する義務は無い。賃貸人であるBさんに請求
           してくれ」と取り合ってくれません。
          敷金の返還義務はどちらにあるのでしょうか?

   
A1
         賃貸借契約期間中に賃貸人の地位が譲渡された場合に、新賃貸人が敷金
         の返還義務があるかどうかについて、法令では、明確な規定はありません。
         この問題に関する判例は古くから多くでています。
         昭和44年7月17日最高裁判決は「建物賃貸借契約において、当該建物の所有
         権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入
         れられた敷金は、未払賃料債務があればこれに当然充当され、残額について
         その権利義務関係が新賃貸人に承継される。」
         と判示されています。
         つまり、敷金の返還については当然、Bさんに請求できます。
         そしてこのことはAさんに請求できる理由は無いということになります。
    そしてBさんが「Aさんから敷金を預かっていない」とする主張は敷金の返還請
    求をする人に対しては通りません。 (理由になりません)
    敷金の承継の問題はAさんとBさんとの間の問題であり、そのこと(敷金を前賃
    貸人から承継していないこと)を理由として敷金を払わなくて良いと言うことには
    なりません。


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